「………はぁ」 朝からスポーツ新聞片手にため息 そこには〝中山優馬 with B.I.shadow〟の文字 そしてでかでかと〝デビュー〟 あーあ、また駄目だったわ やっぱり昭和は無理か 呆れてものも言えねえ 「………ﾁｯ」 ふと隣を見ると紙コップを壁に投げつける二階堂の姿が 「ニカ、カリカリすんなよ」 「はっ？宏光は嫌じゃないのかよ！」 「嫌って…そりゃあいい気分なわけねえだろ」 入って数ヶ月の奴がデビューなんて、気分いいわけねえし だけど─── 決まったもんは仕方ねえし 元々期待なんかしてなかったし 優馬はいずれデビューするだろうって分かってたし 「やっぱ就職したほうがいいのかな～」 携帯いじりながら壁にもたれる藤ヶ谷 「そういうこと…言うなよ」 「……事実じゃん」 楽屋の空気が一気に悪くなる 今日に限って時間より早く着いちまったし いまここにいるのは俺含め数人 あと数分もすれば残りの奴もくるだろう 「俺ら何のためにここにいんの どうせデビュー出来ねえのにいる意味あんの？」 「────…」 俯きながら言うニカに返す言葉がなかった 「…ジュース買ってくる」 そして財布片手に楽屋を出て行った ふと藤ヶ谷をみるとソファーにもたれて寝たふりをしている 「………俺たちにはどうしようもねえじゃん」 〝俺ら何のためにここにいんの〟 ニカの言葉が頭から離れない 俺、なんで未だにJrやってんだろう もうとっくに二十歳だって過ぎてるんだよ？ こんな少ない収入でいつまでも生活して行くつもりかよ ──辞めよっかな PLAYZONEが終わったと同時にさ この不況の中、就職なんて簡単には見つからないと思うけど 今よりはマシかもしんねえし すぐに就職は無理ならフリーターでもやろっかな 机の上にあった携帯を取ろうとしたとき ───あるものが目に入った ピンク色やディズニーのキャラクターの模様がついた封筒 そういえばさっきマネージャーが「置いとくね」って言ってたな それは紛れもなくファンレター 「……………」 〝北山くんの笑顔が大好きです〟 〝みっくんの頑張ってる姿をみると私まで元気になれます〟 〝踊ってるとこ歌ってるとこ全部大好き〟 そしてすべてに共通して書いてあること ｢頑張って｣ 「……馬鹿じゃん、俺」 すべて読み終えてはいないけど自然と笑みがこぼれた ………そうじゃん 俺にはファンのみんながいる 挫折したときやこうやって悩んだとき 何もかもが嫌になったとき いつもファンのみんなが助けてくれた 直接なにかしてもらったわけじゃない だけど俺がメインでもないのにわざわざコンサートに来てくれたり ほんの少ししか載ってないのに雑誌買ってくれたり テレビの前で応援してくれたり とにかくいつも支えてくれた たった一言の〝頑張って〟がどれだけ俺を助けてくれただろう 俺たちがここにいる意味 応援してくれてるみんなに笑顔になってもらうため ファンのみんなのためにも そして自分のためにも もう少し頑張ってみてもいいんじゃないかな いや、絶対に頑張る これからも、もっともっとみんなが笑顔になるように 芸能界って場所で ジャニーズって場所で そして…… Kis-My-Ft2って場所でね End ＜＜重要なお知らせ＞＞@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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